以下、前置きがすごく長いですが、自分の音の好みに合わせたレビューとなりますので自分の好みを一応長々と書いておきます。
普段はほぼスピーカーで音楽聴いてます。
愛用のスピーカーはメインシステムがJBLD123(12インチフルレンジ)とFOSTEX FT600(1インチスロート)を使った能率100db超の高能率スピーカーシステムです。カラッと明るいカリフォルニアサウンドかつ暖色系アンプによる音作りでほぼ完成した自分好みの再生環境。
本当は15インチのD130で組みたいのですが所狭しで現状は不可能。
それゆえ吟味に吟味を重ねた結果D123フルレンジを使う環境となりました。
ここにたどり着くまでに半年間でオーディオ沼への投資が軽く100万円超えました。
とても温かみのある軽快な音が出ます。
しかしながらスピーカーが高能率すぎて夜中に小さい音で鳴らすにもわずかな電流が流れるだけでけっこうな音量になります。
なのでヘッドフォンも必要な時があります。
そんな流れで、いつの頃からかイヤフォンやヘッドフォンにも興味を持ち、いろいろ比較しまくった結果、イヤフォンはSHURE 535SE-LTD、ヘッドフォンは開放型でSHURE SRH1440を使うようになりました。
好みのヘッドフォンはJAZZにマッチするスピーカーみたいな音のもの
自分の好みの音質は以下の項目を満たすような感じです。
なのでイヤフォンやヘッドフォン選びは恐ろしくシビアになります。
- 生楽器の音がリアルに聞こえる感じ
- シンバルやハイハットがガキンっゴキンとヒット音まで再生できる
- ウッドベースがゴリゴリ弦の金属感が表現できて胴鳴りも聞こえまくる
- ピアノのキータッチ音やペダル音がゴトゴト聞こえる
- ボーカルが引っ込まず前に出て艷やかかつスモーキー
- ボーカルもののバッキングギターやピアノなどがボーカルばりに前に出る
- アナログ電気楽器(ローズピアノ、ムーグ、B21オルガンなど)がそのまんまリアルに鳴る
つまり、そのまんま昔のアメリカンサウンド。JBLとかコーラル、タンノイオートグラフとか自作バックロードホーンみたいなのが共通してる部分です。
今出来上がってるシステムはほぼこれに近い音を達成しています。
ちなみに目指したスピーカーの音はJBL C38バロンです。
バロンはいつか欲しいです。
今の音とかなり似てるけど欲しいです。
でも置き場所無いので今は買えません。
こんな音が出るイヤフォンやヘッドフォンは本当に数限られています。
とはいえ所詮ヘッドフォンなんで似たような雰囲気の音しか出ません。
これら好みの音出しを達成できるのは能率の高いメインユニット(90db以上)にホーンツイーター(100db以上)を組み合わせてアンプなどで調整することで近づきます。他にも方法はあるかもですが、自分なりにいろんなスピーカー買って試した結果今のところ、こういう組み合わせなら安くで組み上げることが可能でした。
好みが好みなので
電気街が近所なので今販売されてる海外製スピーカーも国産スピーカーもほとんどの有名な人気機種は視聴しました。しかしながら今製造されてるスピーカーは全くもって元気な音が出ない。
現代の21世紀で販売されてるものではいくら高価なものでも好きな音が出るもの全く存在しないため半分自作したようなスピーカーを使う形になっております。もうひとつ現代サウンドの象徴として比較対象にB&W CM5とヤマハA-S1000というプリメインアンプで構成するピアノ専用の再生環境も組んでおります。ピアノの筐体鳴りは意外と現代スピーカーのほうがリアリティあって美しく聞こえたりもします。
あまり金額はかけられないのですが、この半年ほどで200万円ほどかけていろんなスピーカーユニットやらアンプやらケーブルやら組み合わせて残ったのが古いJBLシステムと新しいB&Wシステムという対象的な性格の音響システムです。
ヘッドフォンはe-イヤホンさんで視聴
ヘッドフォンもイヤフォンも自分の予算的に適度なもの(1万円~10万円程度)をいろいろ聴き比べして比較した結果、イヤフォンはSE535LTD、ヘッドフォンはSRH1440と高音キンキンで音離れが良く、抜けがいいものを選ぶ形になりました。
さて、
自分の音の好みに関する前置きが長くなりましたが、
自分がヘッドフォンに求める条件
- ヌケの良さ、
- 大型スピーカーみたいな軽く広がる低音
- 聞こえの良い中音域
- その結果生み出されるJBL大型システムのような音
こういう条件を満たすヘッドフォンを選んでるのですが、開放型の音漏れが職場では少し気になるので密閉型を必要とする用になりました。
で、いつもお世話になってるeイヤホンさんへ。。
密閉型をいくつも聞きましたがやはりほとんど嫌いな音。
- 低音がボンつく(80Hz 300Hz周辺の悪影響)
- 重低音を謳ってるせいで高域の広がりが弱すぎる
- とにかくDTM用モニターみたいで疲れる(面白くない)
密閉型ってこういう感じのものばかり。
安い1万円程度のものから20万円程度のものまで聴き比べしてみて、どれもいい印象が無い。
密閉型はアンプに繋ぐとより気持ち悪い音になる、iPhone直刺しくらいが低音を抑えて高域強めに出せるのでちょうどいい。
とにかく密閉型はキライなんです。
現代の高級スピーカー同様でろくな音出るものがない。
一般家屋に持ち込むと300Hzあたりが立ち上がりすぎてボンつきすぎる現代スピーカーのように44.1Khzの音源(CDやiTunes)との相性が悪すぎるんです。
なので、いろいろ視聴した結果、やっぱ密閉型はダメだなと、、。
帰ろうかなと思ってハイレゾ用のコーナー見るとまだ視聴してないヘッドフォンが、、。
SONYのMDR-Z7を発見
なんゃ、SONYか、、。
どうせ重低音ゴリ押しの重たいクソみたいな音やろな、、。
と無視してたんですが、、(他のソニー製ヘッドフォンの印象)
とりあえずちょっといい値段なので試しに聴いてみると、、。
「な、、なんやこれ、、?」
「は?開放型か?これ?」
みたいな音でした。
最初の印象です。
iPhone6s直刺しです。
いやあ、驚きました。
密閉型でこんなに高音チキチキして重低音が控えめでくっきりしたベース音、ゴリゴリしたウッドベース、金管楽器の録音時のリバーブの乗りなど、、。空間表現できてる感じのけっこう良い鳴り方するヘッドフォンをめぐりあいました。
iPhone直刺しなんで高音強めで好きな音の出方でしたが、持ち帰るとどうか?
不安はありましたが、他の高価なヘッドフォンとも比較してこれほどクリアサウンドでありながらウォームな音のヘッドフォンは他に無い。
とりあえず速攻で購入した。
MDR-Z7 レビュー
開封の儀
こんな立派な箱いらんからもっと安くして欲しい。。
そう思いながら開封
ものすごい肉厚のイヤーパッド
側圧も適度でメガネかけて寝転んでも痛くないし長時間つけてても全く疲れないSHURE SRH1440と同等の快適さ。
シリアルナンバー。
何のためにあるのかよくわからないナンバーだけどなんだか高級感を感じる箱。
ヘッドフォンでは最大?の70mmドライバーを擁するMDR-Z7。
そのわりに筐体は控えめなサイズ。
ケーブル装着口はねじ込み式。頑丈そうなのでイヤフォンなどのMMCXみたいにすぐに断線することはないと思える。
バランス接続対応のケーブル
ヘッドフォンでバランス接続してまでピュア再生したいとは思わない。
アンプでバランス出力とかも頑張ってみたけど全く面白くない。
スピーカーはRCAで音質変化を楽しむ、
ヘッドフォンやイヤフォンもケーブル交換で音質変化を楽しむ。
こういう使い方がいい。
バランス接続はそういう面では変化出にくいので面白く無いと思ってるので自分はアンバランス接続で楽しみたいと思う。
ケーブルをしっかり差し込んでネジネジ装着。
密閉型だけど、ダクトがあるので半開放タイプなのか、、
大音量にするとわずかながら音漏れする。
自分の場合、大音量のレベルが半端ないので普通の人なら音漏れしないかも。
装着感の良いイヤーパッド、そして長さ調整も目印があってわかりやすい。調整もなんとも言えないトルク感が高級さを感じさせる。
SONYってやっぱ細かいところ作りこんでますね。
音質の評価
普段、一番聴きこんでるDACとヘッドフォンアンプ内蔵機器はTEACのUD-501とアンプAX-501に搭載されるヘッドフォンアンプ。そしてLUXMAN L-590AXの内蔵ヘッドフォンアンプ。
これら3つで聴き比べしてみた。
比較対象はヘッドフォン界で最強の高音再生機ともいわれるSHURE SRH1440との比較になります。
まず、高音再生について
開放型で高音キンキンのSRH1440ほどではないが、かなりチキチキしたハイハット、金管楽器がホーンスピーカーばりとまではいかないがけっこうそれに近いレベルまでギンギン楽器音にリアリティを加える傾向。
澄み渡る高音というより「厚みのある高音」という印象。
中音再生の印象
これが購入の決めてになった大きな部分ですが、ボーカルが前に出る感じで中低音と中高音の再生が厚みがありつつも音離れがよく、音の分離、声のぶ厚い質感は暖色系に分類していいと思う。
ハイレゾ対応機にありがちな繊細な高音表現もできるけど、アナログレコード聴いてるようなぶ厚い高音再生という雰囲気もある。
低音再生の印象
結局のところ、このヘッドフォンは低音再生に非常に余裕あるため中音、高音とも音に適度の厚みと全体的に重すぎないバランスのいい音になってるように思える。
密閉型ヘッドフォンは重低音が耳に当たりすぎて痛く感じやすい。また低音の能率が高すぎて高音を包み込みすぎて曇った音に聞こえやすい。開放型と比較すると総じてこんな印象。
なのに、このMDR-Z7はこういった密閉型のネガティブな印象をまったく寄せ付けないほど室のいい重低音を奏でる。高音域を包み込みすぎて消してしまうような低音ではなく、高音域にハリを与えるようなベースと鳴る低音成分をうまく表現できてると感じる。小型スピーカーなみのユニットを搭載するヘッドフォンゆえ、低域再生の能力が異常に高いからではないかと思う。スピーカーでいうところの15インチ(38センチ)ユニットで聴いてるようなイメージに近い。
総評
開放型のSHURE SRH1440ような軽快さは無いが、AKG812のようなリアリティのある空間表現ができる開放型に非常に親しい音の表現をするヘッドフォンだと感じる。
モニターヘッドフォンに近い性格といえるが、組み合わせるDACやヘッドフォンアンプ、携帯プレイヤーによってはより低音をそいだ軽い音になるので高音好きな人はアンプではなくiPhone直刺しやパワーの無いモバイルプレイヤーに接続してみても面白いと思う。
自分の手元にあるヘッドフォンアンプではLUXMAN DA-100との相性が最もお気に入り。
AX-501はパワーがありすぎるため低音が強くなりがち。
UD-501はクリアでフラットな特性なのでiPhone接続時のように聞き疲れしにくい。
LUXMAN L-590AXではなめらかな音質になるので好きだがやや重低音が強調される楽曲が増える。
iPhone直刺しが一番気楽に長時間聴ける。音が軽くなるので機気疲れしない。
LUXMAN DA-100のヘッドフォン端子に接続すると、まるで真空管アンプに高能率スピーカーを接続したかのようなウォームでしっとりとした音になる。かなり好みだ。
ヘッドフォンは持ち帰って自宅のアンプに繋ぐまでどういう音が出るかわからないけど、iPhone直刺しである程度確認できれば雰囲気はわかる。
今回はDACに繋ぐ方向で選んだのですが、最終的にDA-100とのウォームな音出しで落ち着きました。
スピーカー再生回数よりヘッドフォン再生回数が増えそうな、、
そんな秀逸なヘッドフォンだと思ってます。
ここまで好みの音を出してくれると今度はピュアな音質を狙いたくも鳴ります。いつかバランス対応のヘッドフォンアンプを入手してみたくもなりますね。
リケーブル