交換してどうなったか?
もともとパワフルな4312シリーズが
2つくらいクラス上のパワフル感になったという感じです。
ことの成り行き
JBLといえば1970年台のサウンドをイメージするのですが、その中でも30cm超の大型ウーファーとホーンスピーカーの組み合わせの音というのが耳に残る懐かしくもあり元気ビンビンの音であります。
オーディオをやりはじめて各社のスピーカー聴き込んだけど「好みの音」のスピーカーが現行品では全く存在しない。たぶん自分ではあの頃のあの音が一番好きなんだと思う。今はジャズメインだけど、もともとは70年台のR&BやAORが好きなので。。
可能であれば4343とか4344あたりの70年台のパーフェクトJBLサウンドを我が家にも招きたいのですが、15インチウーファーに大型エンクロージャーというサイズ。そのサイズがどうしても狭い部屋ではハンドリングしようがないので、せめてJBLの音だけでも、、との思いでぎりぎり昔のJBLっぽい音を出す4312Bmk2という12インチウーファーの3ウェイスピーカーを使っております。音源はiTunesオンリーです。
もうひとつのJBLサウンド4311
4343を小型化しても同じような音を出すスピーカーという位置づけの4311。
4312シリーズはその前進にある4311というモニタースピーカーの後継
4311は中広域にホーンを使わずコーンスピーカーのスコーカーを配置した3ウェイでエンクロージャーも40リットル程度の小型の箱。しかしながら4343あたりと聴き比べても遜色ない中高音の厚みと伸び、スピード感に躍動感、そして濃厚かつ軽快な低音。小型なりにめちゃくちゃいい音がするスピーカー。
4312シリーズになってその元気な音の雰囲気は受け継がれ現代にいたるまで40年以上も定番JBLスピーカーとしての存在感のあるシリーズ。しかしながら自分で聴き比べすると4311と4312シリーズで出てくる音はかなり違うんです。
中古ショップで聴いたりしてると自分の4312Bmk2や4312A、最新の4312Eに至るまで、どれも4311とは全然違う音が出る。
いや、4311こそが自分が記憶する「めちゃええ音」のJBLサウンドなのかもしれない。
そう思うようになりまして。。
アルニコ・マグネット搭載ユニットLE5-2をインストール
4311は古すぎるので中古品はネットワークの劣化が怖い。
4312シリーズは比較的新しいので各ユニットもエンクロージャーもまだまだ元気
ということで4312を入手しました。ユニット交換前提で。
4311と4312の大きな違いは
- 4311 =アルニコマグネットのユニット使用
- 4312 =フェライトマグネットのユニット使用
というマグネットの違うユニットを使ってるという構造上の違いが有りまして。。
マグネットも結束磁界の強度とか詳しいことはわからないけど
マグネット強い = ボイスコイルが俊敏に動く&振動板がゴリゴリ動く
というイメージがあるのでフェライトマグネットよりも磁束が強いネオジムのユニットなんかも交換部品として検討したけど、古くからのJBL使いの先人たちのブログなどを拝見させていただいてると、やはり
LE5-2 = 最強ユニット
という公式が成り立つ。(自分の中では)
JBL使いの先人のみなさんは
- 激変!
- めちゃいい音!
- もっと早く交換してればよかった。。
と交換経験をした4312シリーズを使うJBLの達人たちがおっしゃっております。
ということなので是非やってみたい。
そういう前調べもあって4312シリーズ中でもハンドリングしやすい4312Bmk2(キズがつきにくいからね)を選択したわけです。
自分もやってみた
なんせ30年以上昔のユニットなので程度のいいものがなかなか見つからない。
ちなみにアルニコ・マグネットというのは強烈な磁力密度を誇るコバルトを素材とした希少なもので70年台の紛争の影響もあり現在は入手困難な素材です。現代ではネオジムがこれに相当する強い磁力を持つといわれています。(ネオジムは熱に弱くアルニコは熱に強いためボイスコイルの発熱の元でも安定した駆動が可能)
参考:アルニコ・マグネットとは
ヤフオクで程度のよさげなのを待っててもなかなか出てこなかったのでハードオフでたまたまみつけた「そこそこ見た目のいいやつ」を入手。
アルニコの欠点は保磁力がフェライトと比べて弱いそうなので出来るだけ見た目がキレイなものを選べば磁力は強いままかと思い「見た目がいいやつ」で選んだ。
シリアルナンバーはそれぞれ近い数字
インピーダンス8Ωなので4312純正装着のスコーカー104-H3と同じだし内部ネットワークにもマッチするはず。。
LE5シリーズもLE5-5とかLE5-10とか4312になってフェライトになってもLE5系のユニットがあるらしいけどアルニコ仕様でモノホンのJBLサウンドが出るのはLE5-2だけらしい。
一般家庭向けに廉価版で作られた4312のフェライトマグネット仕様のスコーカー104H-3とは別次元の音が出るらしい。
たしかに、真横から見るとマグネットの存在感、フレームの雰囲気、ターミナル、見た目からして違いすぎる。
ネジ穴の位置、サイズは全く同じなのでボルトオンで装着できます。
4312は4311の廉価版みたいなイメージもあるけどユニット以外の部分は共通なところが多いのでスコーカーの後部は2リットル程度のチャンバーがありウーファーの影響を受けることなくスコーカーが独自に受け持つ周波数を鳴らせる仕組みになってる。
なのでユニットだけ交換ボルトオンで4312が4311の音になる。
ただし4311と4312各シリーズごとに若干クロスオーバーの周波数は違う
4312Bmk2は1.1KHzと4.2KHzなので4311の2KHzと6KHzよりは若干這い上がりな音になるはず。
以前チャンデバで2213Hとホーンスピーカーで周波数変えながらチェックしたけどウーファー2213Hをフルレンジで鳴らす場合、クロスオーバーは3KHzくらいでスコーカーをかぶせていくと野太いボーカル、野太いテナーサックスの再生が可能だった。ただ、奥行き感や解像感を出すには800Hz〜2KHzあたりでクロスさせたほうがいい楽曲も会った。
なので1.1KHzでクロスオーバーする4312Bmk2は非常にバランスのとれた音が出やすい。まさに家庭用モニタースピーカーという性格を持ってるのではないかと思うわけです。
音質レビュー
うん、
まさに先人の仰るとおり
4312シリーズ使ってて高音域の分厚さやボーカルの飛び出し具合に不満を感じてる人なら驚くほどの満足感があるはずです。
早く換装しておけばよかった。。
と思いました。
驚きです。
こりゃウーファーもアルニコ仕様にしたらどうなることか。。
といらん欲求が膨らむけど、
2213Hは実はもともとかなりの低域まで再生してたようで高域がしっかり出るようになってより低音楽器の音に厚みと軽さが表現出来るいいスピーカーになった。
30センチでも十分だとわかった。
クラシック室内楽や無伴奏チェロあたりの弦楽器の再現応力はずば抜けた表現力を身につけた。
スピード感のある低音、キンキンと厚みのある高音
大きなウーファーユニット独特の軽い低音。
決して音量が出てないわけではなくスイープ波とかでギリギリ単体で耳で聞こえる周波数80Hz以下、60Hz以下の音がちゃんと出てるのがわかるようになり、アンプ側のアッテネーターで10KHzあたりを増強すると4312のスーパーツイーターがちゃんと10KHz以上も出してたんだということもわかりやすくなった。
4312はかなりワイドレンジで音が出るので中高音を強化するとめちゃくちゃいい音になることがわかった。
これも人間の耳が音として一番認識しやすい1KHz前後〜4KHz前後を正確かつビンビンに再現出来るユニットが入ったからだろう。
いや〜
LE5-2はすごい。
10センチクラスの最強ユニットと呼ばれるのも解る気がする。
かくして我が4312BMk2は一段と良い音が出るスピーカーになりました。
もうこれでええわ。
と思えるくらいいい音に感動でございます。
いいスピーカーだ
良いアンプとも相性がよくなるようで。。
購入後、ほとんど使ってなかったLUXMAN L-590AXを常用するようになった。
ノーマルの4312と繋いでもイマイチ音にハリがないなあと感じてたけどスコーカー変えた途端、恐ろしいほどの相性の良さを感じるようになった。
JBL独特の乾いたサウンドにLUXMANのA級ならではの濡れたような雰囲気が重なってえらく艶のある音が出る。
サックス、チェロ、ボーカル、カッティングギター
こういうのが入ってる楽曲聴くにはこれ以上ないセッティングになってる気がする。
そういえばLUXMANは開発時のリファレンスでJBL4343を使ってるとどこかで噂を見たけど、そういうのもあって4311化したこのスピーカー、出音を70年代化させたこのスピーカーとマッチングがよくなったのかもです。
ちなみに、、
内部配線に使ったのはこのスピーカーケーブル
ネットワーク組んだり、スピーカー配置離す時にも30メートルあるんで使いまくりで助かります。
音も普通にいいからコスパ最高、Amazon神!
追記)その後の研究(遊び)でわかったこと
この日記以降、
4312エンクロージャーでD123とFT600ホーン、N2400ネットワークなどいろいろ聴き比べし、友人宅の4311などと音質比較をしまくった結果、4312BMK2純正のスコーカー104H-3とLE5-2の決定的な違いがわかった。
4312系は
104H-3を装着すると1Khz周辺半オクターブがやや引っ込み(ディップ気味)2KHz~3KHzが持ち上がる
LE-5-2を装着すると1KHz周辺1オクターブが持ち上がる傾向にある(部屋次第だが)
この特性を見る限り個人的な好みの1KHz周辺2オクターブがはっきり聞こえることで低音楽器の輪郭(ベースゴリゴリやフロアタムの沈み込み)、バッキングギターなどのクリアさが目立つようになるとわかった。
LE5-2はちょっとしたホーンドライバー&ホーンなみの能率を誇るためアッテネーターは絞り気味にしたほうがウーファーユニットとのバランスはいいが、目一杯アッテネーターを10まで上げるとまさにホーンドライバーっぽい鳴り方をするため中高域に多く含まれる録音時のエコー成分(リバーブやコーラス)が非常に聞こえやすくなる。
さらに中域がぶ厚い真空管アンプなどと組み合わせると超低域と超広域が抑えられるためボーカルが野太くなりワンサイズ上のクラスの中域再生を再現することも可能になる。
4311のネットワークは2Khzと6KHzでクロスされ以降、4312Bで1.5KHzと5KHzなど若干の変更が加えられる。4312BMK2においては1.1KHzと4.5KHzでのクロスである。
ウーファー2213Hは公称値で3KHzまで出るように記載はあるものの1KHzで大きく音圧が下がる傾向にあり、可能であればその付近でクロスさせるほうがつながりもよく音の分離もよくなるように思える。
とはいえ431x系はどれも似た音質でN2400を介したホーンシステムの音とよく似た印象を受ける。
3ウェイでウーファーをフルレンジで鳴らすことによりこの特徴的なホーンサウンドライクな音質を獲得してる431x系スピーカーはやはり伝統的なJBLサウンドなのだと思った。
2016.2.12追記