ロクハンのフルレンジFE166Enのバスレフ「飛びねこエンクロージャーSB-FE166」を愉しむ

オーディオの先人たちの言葉で

フルレンジはロクハンに始まりロクハンに終わる

というものがあります。

 

家庭用のオーディオスピーカーではロクハンが最高であるらしい。

ずっと16センチの2ウェイ小型スピーカーを愛用する自分には

すごく気になるお言葉です。

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ロクハンのフルレンジスピーカー

ロクハンとは6.5インチのこと

6.5インチスピーカー、

つまり16センチユニットこそ最高

昔人気のロクハンはこれP-610B

DIATONE P-610A(AT/AJ) P-610Bの仕様 ダイヤトーン

 

 

言われてみれば、

16センチユニットのスピーカーは

P-610に限らず

狭い部屋でBGM的に小音量で音楽を鳴らすのも良し、

小音量でも低音から中高音まで構成が聞こえやすい。

バランス通い。

 

たまに正面に座って音像定位を楽しみ

ステレオHi-Fiで音楽に入り込む

そんな視聴環境の私には

たしかにフルレンジ一発は最高です。

 

16センチユニットは

コンパクトなエンクロージャーでも

低音から高音までバランス良く出る

場所取らないし良い音だし、

貴重な存在です。

 

大きすぎるユニットや

大きすぎるエンクロージャーを使うと

狭い部屋では低音出すぎて

近隣への近所迷惑がとても気になるから

 

出来ることなら

できるだけバランス良く

ナローレンジでいいから

繊細さと低音を適度に交えて

耳まで届けることができる

聴き疲れしないスピーカーがいい。

 

そんな望みを叶えやすいのが16センチユニット

 

一言で言うなら

全てにおいて

16センチが最高にバランスいい。

 

ということで、

ずっと欲しかった

フルレンジ16センチユニット搭載の小型スピーカーを入手しました。

FOSTEX FE166En

ユニットは大好きなFOSTEXで

16センチユニットのFE166Enです。

 

主な仕様

  • インピーダンス 8Ω
  • 最低共振周波数 53Hz
  • 再生周波数帯域 fo~22kHz
  • 出力音圧レベル 94dB/W(1m)
  • 入力 65W(Mus.)
  • mo 6.8g
  • Qo 0.25
  • 実効振動半径(a) 6.5cm
  • マグネット質量 600g
  • 総質量 1.6kg

 

能率は非常に高く94db/W(1m)

1KHzの能率がこれくらい高いと

非力な純A級アンプと相性いいはず。

 

しかし、

Q0が0.25という

かなりバックロードホーン向けユニットです。

※Q0の数値が大きいほど低音出やすい性質になるそうです。質量との関係もあるけど

 

ユニット単体の周波数特性を見ても

正面0度ではハイ上がり

 

 

FOSTEXでもバスレフでは難しいと記載がありますが

バスレフ容量15Lで

fb=65Hzあたり

50Hz~80Hzに山を狙うと良い感じ、、

と説明もあります。

 

このようなバックロードホーン向けユニットですが

我が家は現状バックロードホーンなど

トールボーイスピーカーを置くことができません。

 

なので

あえてコンパクトなバスレフにおさめて丁度いい音に

なりそうなエンクロージャーは無いものか。。

 

と探すと

よさげなのがありました。

 

飛びねこハンドメイドスピーカー工房

三重県の工房でスピーカーエンクロージャーを長年作り続けて

ユニットを取り付けるだけでOKの

完成したエンクロージャーを比較的低価格で提供しておられる

オーディオファンには有名な方です。

 

以前からヤフオク、Yahooショッピングで販売されていて

興味を持っていた飛びねこ製エンクロージャー

 

中古ですが

やっと自分用で入手

FOSTEX FE166En用 飛びねこエンクロージャーSB-FE166

SB-FE166 カスタム ハンドメイド ウッド 木製

バックロードホーン用のユニットをバスレフで使用する。
ポートを大きくとって、開放的な音を狙うと言うのもありだ!と言うコンセプトのもと、開発しました。ナローレンジで上品な音に仕上がりました。

もともと穏やかな性格のユニットですので、聴き疲れのしない音です。バックロードもいいけど、これも良い!M4鬼目ナット設置済み

 

諸元

  • サイズ:241(幅)x450(高)x262(奥行)
  • 適合ユニット:フォステクス FE166En
    ※FF165WKには適合しません。
  • 材質:ラジアタパイン集成材25mm/無塗装
  • 付属品:スピーカーターミナル(バナナプラグ対応)
  • その他:鬼目ナットM4 埋め込み済み
https://store.shopping.yahoo.co.jp/nekorin65/166.html

 

周波数特性はこんな感じ

飛びねこエンクロージャーは販売ページに周波数特性の計測データが掲載されてます。

グラフ見てると、、かなりフラット?な感じです。

これ見てもよくわからないけど^^;

中古のスピーカーGET

そして

中古で買ったスピーカーが届いたので

早速音を鳴らした

 

のですが、、

なんか異様に変な音

 

なんだか高音しか聞こえない

低音全く出てない

しかも音像定位がおかしい?

 

なんだこれ??

 

どうやら、左右で逆位相になってるときの音

ボーカル曲とか聞いてみると音像定位が無い

 

ということで

早速ターミナルとユニットのケーブルをつなぎ直す

六角レンチでボルト外す

 

エンクロージャーは鬼目ナットなので

気軽にユニット外せるのがいい

 

というか、ボルトが異様に緩んでたorz

 

エンクロージャーの内部は

グラスウールの吸音材がわずかに入ってるだけ

 

右側のユニットとケーブル

正常OK

 

左側のユニットとケーブル

案の定、逆に繋がってる^^;

 

つなぎ直した。

 

黒と白のケーブルなら

一般的には黒を+(赤)、白をマイナス(白)?

どっちか知らないけど、、

 

同じ端子の色へつなぎ直した。

 

さて、鳴らすぞ!

音質レビュー

まともにつなぎ合わせたところで

早速音楽を聞いてみたが、、

やはり、

全く低音が聞こえない。

というか低音楽器はクリアに鳴ってるが

低音の量感が乏しいという感じです。

 

8センチユニットのかんすぴよりも低音が聞こえないかも。。

10センチかんすぴなら圧倒的にかんすぴP1000KとP1000-Eのほうが低音が聞こえる

そんな感じの音質です。

 

10センチのかんすぴレビュー

かんすぴP1000-EとP1000Kをペアで購入10センチフルレンジの小型スピーカーの音質レビュー
2021年3月 Amazonでかんすぴ買いたいのに在庫がない。 P1000-E在庫はあるけど、 なぜかエンクロージャーは1個しか買えない。 お一人様1個限り、、と なぜかペアで買えない。 同様にスピーカーユニットのP1000Kも1個しか買え...

 

異様なまでのハイ上がり

低音無視したような音質です。

 

バスレフポートの共振周波数を計算してみた

販売ページのはこの大きさと板厚25mmで単純計算すると

エンクロージャー容量 約14L

共振周波数 約70Hz

バスレフポートの設計は

普通に聞こえやすい範囲の周波数だけど

小音量では100Hzですら聞こえにくい

そんなスピーカーに仕上がってる。

吸音材を入れてみる

以前買って使ってないグラスウールがあったので

使ってみた

グラスウールで高音を殺し

できるだけ低音が聞こえやすくなるよう試す。

FE166Enはけっこうキレイ

まだ新しいユニットですね。

 

とりあえずグラスウールを

240×500×25mm

このサイズで押し込んでみた

 

使ってるのはこれ

東京防音のグラスウール

チクチクする本格的なやつです

 

FOSTEXの純正エンクロージャーなら

だいたいこれくらいの量入ってるので

真似てみた。

 

入れすぎると明るい音がつまり気味になる傾向があるんで

背面、サイドに1センチ厚くらいで貼るのがよさそうだけど

 

とりあえず

出過ぎる高音をなんとか吸音したい

広すぎるポートから出てくる中高音をなんとか吸音したい

と考え

240×500×25mm

 

このサイズのまま

背面と底面へL字に折りたたむように押し込んだ

 

下のバスレフポートの上がグラスウールでふさがってしまったけど

低音なら勝手にすり抜けるから大丈夫

 

で、

グラスウール入れた結果

音質はどうか?

 

うーん

この程度で抑えれるような高音ではない

なんせ、このユニットはバックロードホーン向け

バスレフエンクロージャーではそう簡単にバランスのいいスピーカーにはならない。

 

吸音材いれても10センチのかんすぴより低音聞こえない

8センチかんすぴには勝る程度か。。

 

厳しい

PST回路を装着

かんすぴの低音強化で使ってる

1mHのコイルとセメント抵抗

かんすぴ低音強化の巻

【かんすぴ低音強化】P1000KとP1000-Eの低音をもう少し増やしたいのでいろいろ試してみた~PST回路ほか
かんすぴP1000-EとP1000Kの組み合わせはバランスがいい。 でも、音質はハイ上がりで 長時間BGM用として使うには耳が痛い高音よりな音質。 まあ、その高音よりな明るい乾いたサウンドが好きなので 音楽聴くにはいいのですが、 YouTu...

 

これらを並列に繋いで

スピーカーの+端子へ割り込むだけ

これをつなぐことで高音を弱くできるので

全体バランスとして低中高それぞれの音圧がバランスとれたりする

うーん

これ入れるとなんとかいい感じです。

 

しかし、まだハイ上がり

思い切って

コイルのみとしてみたら

ヤバい!!

絶品サウンド!

 

明るい前に出る音質でありながら

低音楽器の音もクッキリ聞こえやすい

量感は乏しいが明るい軽い低音という感じ。

 

ダイナミックレンジは狭いが

とにかく聴きたい音域が前に出て聞こえやすい。

 

やっと、横に置いてる同じ16センチの

B&WのCM5と同じくらいか

ちょい劣るくらいの低音が聞こえるバランスになった。

 

同じ16センチユニットのスピーカーでも

こんだけ小さい6リットル程度の箱のCM5が

フラットで豊かな低音が出るのに対し

こちらのFE166Enバスレフは14リットルほどの箱だけど

低音が表に出にくいって不思議。

とにかく70Hz以下の音はかすかに聞こえるくらいで非常に弱い。

 

それだけ高音が強いユニットだからこそか?

1mHのコイルかませると

想像以上の

めちゃめちゃいい感じの音になりました。

 

もうちょい下の周波数から減衰させるともっとスイートな音質になりそう

1.8mHくらいが良さそうにも思う。

(700Hzくらいから減衰)

 

バランス的には

THE JAZZ向けスピーカー

あるいは

ボーカル向けスピーカー

という仕上がりです。

 

1mHのコイルかませるだけで

かなり良い音です。

 

いまだ出会ったこと無いレベルのバランス。

 

明るく低音楽器もクリアで分離が良い

それぞれの楽器の音の粒立ちが非常にクリア

かつ、耳に痛い高音とかではない音質。

 

ナローレンジで上から下まで非常に聞こえやすい

すばらしいバランスのスピーカーに化けました。

コイルで1.27KHzくらいから?

上を減衰させることで

なんとかバランス取れた感じです。

(抵抗は3Ω入れてるんで1.5KHzくらいかも)

 

コイル入れた状態で

こういうの鳴らすとサックスがバフン♪と

ホーンスピーカーみたいな音で金属音出るので面白いです。

 

あとこういうR&Bで無駄な音減らした録音のものは

ボーカルが聞きやすく、楽器の音も分離がよく聞き心地が良い

レイラ・ハサウェイfeat.のラヴリィデイなんかは、

かなりいい感じです

 

さらに、女性ボーカル

井筒香奈江さんの時のまにまにⅤ

「いっそセレナーデ」では

チェロ単独の音、女性ボーカル

それぞれが空気の中に浮き上がるような

太すぎず細すぎず、聴き心地の良いメロディーを奏でます。

この状態で

女性ボーカル好きにはかなり良いスピーカーです。

 

アストラッド・ジルベルトのDiva

透明感が際立つボーカル曲が多いこのアルバム

カーニヴァルの朝に浮き立つ空気感

コルコバードで優しく響くピアノ、金属的でありながら霧のヴェールに包まれたようなサックス音そして女性ボーカルとスタン・ゲッツのささやくような歌声

それぞが非常にマッチするスピーカー

 

高音好きには良い「聞き疲れしないスピーカー」

コンパクトサイズで低音ほどほどに出て

高音が明るく聞こえるスピーカーが欲しい

そう思って入手したが

これはちょっと高音寄りすぎる

こんだけ高音よりなスピーカーなら

こんなにデカイのではなく

6センチとか8センチユニットのスピーカーで十分だと思う面もある。

 

しかしながらこのスピーカー

やはり16センチならではの絶対的低音再生力があるので

コイルなんて挟まず素のままで鳴らしても

古いJAZZの録音などは非常に聞きやすい

 

特にこういうメローな楽曲

アート・ペッパー Art Peppert Meets the Rhythm Section

 

自分は夜中でもこういう

メローなJAZZをスピーカーで音楽聴くのですが

非常に小さい音量で鳴らすため、

 

※これくらいの音量

スピーカーによっては

一部の音が聞こえにくく、

低音が変に響いて周囲への迷惑が気になる

 

なんとか深夜でも

小音量でキレイに楽器の音が聞き取りやすい

そんなスピーカーは無いものか?

というニーズがある。

 

このFE166Enと飛び猫エンクロージャーの組み合わせは

そのあたりのニーズを完全にクリアしてくれるほど

極小音量でもすべての楽器の音が聞こえやすく

低音楽器の音でさえ小音量でも聞き取れる。

 

そして小音量ゆえ聞き疲れしない

 

低域を抑えた設計のせいか

50Hz~60Hz、100Hz~120Hzあたりの

倍音と部屋の定在波による

低音のボン付きがほぼ発生しないので

面白いくらい聞き疲れしない。

 

これは10センチや8センチスピーカーでは到底無理な表現。

やはりロクハンならではの

ユニットそのものが持つ低域再生能力が小音量での音楽再生に優位性を感じる。

 

もし、素の状態で高音よりな性質に不満があるなら

コイル噛ませたり、大音量で鳴らすなりすれば

本来持つ低音再生力も表に出やすくなる。

 

FE166Enとエンクロージャー

そのまま使うなら

ただただ高音強めのスピーカーになる。

しかし、小音量でJAZZを聴くには

他にない極小音量でも各楽器音が聞き取れる

非常に珍しい性格のスピーカーシステムと言える。

昭和50年代の密閉箱エンクロージャーとか

すごく昔のスピーカーがこんな音だったような。。

FE166En自体は高音がクリアで

低音も明るく軽い感じでとても良いユニットだと思う。

このエンクロージャーも単体ならいいエンクロージャーだと思う

 

あえて狭いレンジでの音表現を狙ったエンクロージャーはさすが。

 

さらに

低音から高音までバランスの良い音を望むなら

絶対にコイルを挟んむのもいい。

コイルさえ挟めば

それはそれで、バランスの良い

ボーカルスペシャルなスピーカーに仕上がる。

 

実際、ボーカル曲はボーカルが前に飛び出す感じ

FOSTEXフルレンジらしいクリアなボーカルでありながら

ロクハンならではの

行きすぎない低音の鳴りっぷりが良いバランスを生み出す。

 

金管楽器も金属的に聞こえやすい

ギターのアンプから出る音がアナログ感溢れて

ディストーションがエネルギッシュに表現できる

ボーカルだけでなく楽器の音がリアルに聞こえやすいスピーカーです。

 

ということで

このスピーカーシステム

高音好きには良いスピーカーと言えるかもしれない。

 

販売ページにはFF165WKは合わないと書いてるが

バスレフ向けユニットのほうがバランスいい音が出のでは?とも思う。

とはいえFF165WKでもだいぶハイ上がりになると予想できるので

バランス良い音に仕上げるならコイルで高音減衰させるほうが良いと思える。

 

あと、能率が94dbとかなり高能率なので

真空管アンプや純A級アンプのような

非力なアンプとの相性は良いはずです。

(うちもA級動作で鳴らしての評価してます)

コイル挟んでもかなりの高能率です。

 

トータルして、

かなりボーカル楽曲が聞こえやすいスピーカーです。

高音寄り = ボーカル聞き取りやすい

そんなスピーカーですね。

まとめ

自分の場合、

フルレンジは

4インチ(10センチ)にはじまり

12インチ(30センチ)

3.5インチ(8センチ)

5インチ(12センチ)

5.5インチ(13センチ)

4インチ(10センチ)に戻り

8インチ(20センチ)と進み

現在ロクハンへ

と寄り道してますが

 

コイルを挟むという小技を覚えたことで

フルレンジの楽しみ方をさらに広げることができました。

 

今回のロクハンフルレンジは

自分にとってゴールかどうか?は今はまだわかりません。

 

エンクロージャー、ユニット、コイル

この組み合わせで仕上がった素晴らしいサウンド。

 

素のままでも非常に奥ゆかしいサウンドで

ナローレンジで中低域から

中高域までが聞こえやすい

小音量で非常に聞きやすい

そんなフルレンジスピーカー

 

まだまだいろいろ応用できそうな

遊べるスピーカーかもしれません。

 

フルレンジスピーカーを鳴らすなら

こういうコイルを数種類持っておくと、

愉しみが増えて面白いです^^